日本には二ホンミツバチ(野生)とセイヨウミツバチ(養蜂のため野生ではない)の2種類のミツバチがいる。そして、ミツバチにとって体格の大きなスズメバチは天敵とも言える存在で、成虫を殺し、幼虫や蛹(さなぎ)をエサにする。特にオオスズメバチは最大の天敵。そこで、ミツバチはスズメバチに対する熱殺蜂球(ねっさつほうきゅう)と呼ばれる必殺技を編み出した。
熱殺蜂球とは、スズメバチに数百匹もの集団で抱きつくように囲い込み(蜂球)、皆で筋肉を震わせ熱を作り、蜂球内の温度をスズメバチの上限致死温度を超えるまで高め、蒸し殺すというもの。ミツバチはスズメバチよりも上限致死温度が高いため、スズメバチが耐えられない温度になっても耐えられる。
蜂球内は温度のみでなく湿度やCO2濃度も上昇し、スズメバチの上限致死温度が下がるとの研究結果がある。ただ、二ホンミツバチやセイヨウミツバチにはあまり影響が見られない。具体的には、二ホンミツバチの蜂球内は5分後に温度約46℃、湿度90%以上、CO2濃度約4%に達する。同じ状況を再現したところ、上限致死温度の平均はオオスズメバチが約44℃なのに対し、二ホンミツバチやセイヨウミツバチは約50から51℃だった。
熱殺蜂球はセイヨウミツバチも行うが、同研究によると二ホンミツバチと比べて2から3℃程低い。ただ、蜂球内のスズメバチを針で刺激し、体温を上げさせることで、温度を上げるとの指摘もある。
ちなみに、熱殺蜂球に参加したミツバチは寿命が短くなる。また、再び熱殺蜂球に参加する機会がある場合、危険性の高い内部へと向かうと言われている。
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