チューブ入りわさび(山葵)には、本わさびと西洋わさびの両方が使われたものと、本わさびのみが使われたものがある。
本わさびとは日本原産のいわゆるわさび(固有種)のこと。一般的に日本でわさびと言えばこちらを指す。西洋わさびとは明治初期にアメリカから持ち込まれた(外来種)いわゆるホースラディッシュのことで、例えばローストビーフに添えられる。本わさびよりも辛く、辛み成分は約1.5倍。繁殖力が強く、北海道を中心に野生化。山わさびやわさび大根とも呼ばれる。
加工わさびの歴史を大きく見ると、本わさびを粉状にした粉わさびが生まれ、次に食べやすいようあらかじめ水に練りこんだ練りわさびが作られた(チューブ入りわさびはこれに該当する)。そして、練りわさびの素材も粉わさびからすりおろされたもの(生わさび)へと変わっていった。
本わさびは加工すると辛みや香りが飛んでしまう(次第に弱くなる)。そのため、これを補うために西洋わさびや香料が使われる。西洋わさびは本わさびよりも安価だが、それだけが使われる理由ではない。この他にも各社は美味しい加工わさびを作るため、様々な企業努力を行っている。
このような経緯から、チューブ入りわさびに西洋わさびも使われているものがあるというよりも、本わさびのみが使われているものもあると表現した方が正しいのかもしれない。
ちなみに、ヱスビー食品株式会社によると、本わさびのみを使用したチューブ入りわさびは風味が違うとのこと。ただ、例えば金印株式会社は、西洋わさびは本わさびの辛みや香りを引き立てるため、あえて使用することもあるそう。そのため、価格も含め、一概にどちらが良いとは言えず、結局は好みによるのだろう。
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