日本には幻のたけのこと呼ばれるたけのこが存在する。それは”京たけのこ”と呼ばれ、京都で独自の方法で栽培される孟宗竹(もうそうちく)のたけのこで、”白子たけのこ”とも呼ばれる。孟宗竹は明(中国の王朝)から来た僧が持ち込んだという説と唐(中国の王朝)を訪れた禅僧(仏教の一派である禅宗の僧)が持ち帰ったという説があり、そのいずれかにより京都に広まったと言われている。ただ、その独特の栽培方法により、幻とも呼ばれるほどのたけのこになった。
親竹同士の間隔を密にならないよう管理することはもちろんのこと、秋や冬になると広大な畑一面に乾燥させた稲藁(いなわら)を敷き、その上からミネラル豊富な赤土を置く(置土)。稲藁は肥料になり、赤土のミネラルは甘みを増やし、ふかふかで柔らかい土壌からはやわらかいたけのこが育つ。たけのこは8年経過した親竹からは生えにくくなるため、農園によってはこれを記録し、伐採する。また、たけのこは日に当たると硬くなり、えぐみも増すため、京たけのこは土から顔を出す前に掘り起こされる。日に当たったたけのこは黒くなるが、日に当たらない京たけのこは白いまま。そのため、白子たけのこと呼ばれる。土の下にあるたけのこを見つけるのは簡単なことではなく、地面が盛り上がったひび割れをヒントに長年の経験から見つけ出す。出荷は3月中旬から行われ、最盛期は4月中旬から5月上旬頃。
一般的なたけのこは1kgあたり約1800円だが、京たけのこは約5000円(令和4年度)と高い。ただ、厳格に管理して作られる京たけのこはえぐ味がなく、肉厚で、刺身で食べられるほどやわらかいと言われる。
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